こんにちは。hagebeatsです。
自閉症スペクトラムとは?
突然ですが、みなさん自閉症スペクトラムという障害を知ってますか?国立精神・神経医療研究センターのページによると
社会的なコミュニケーションや他の人とのやりとりが上手く出来ない、興味や活動が偏るといった特徴を持っていて、自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群といった呼び方をされることもあります。
自閉症という言葉に引っ張られてしまいがちですが、従来呼ばれていた知的障害のある自閉症とは異なる障害です。どういった症状があるかというと
・会議などの場所で空気を読まずに発言してしまい、ひんしゅくを買う
・視線があいにくく、表情が乏しい
・予想していないことが起きると何も考えられなくなり、パニックを起こす
・自分なりのやり方やルールにこだわる
・感覚の過敏さ、鈍感さがある(うるさい場所にいるとイライラしやすい、洋服のタグはチクチクするから切ってしまう)
・手先が不器用である
・細部にとらわれてしまい、最後まで物事を遂行することが出来ない
・過去の嫌な場面のことを再体験してイライラしやすい
もしくは
と思った方も少なくないかと思います。それもそのはず。ヨミドクターの記事によると、日本では計100万人以上自閉症スペクトラムの方がおり、割合としては人口50~100人に1人は自閉症スペクトラムである計算です。
参照記事:発達障害「自閉スペクトラム症」解明進む…セロトニン減少、発症に関与か(ヨミドクター)
発達障害は複雑
と不安になったり、より気になった方も多いことでしょう。自閉症スペクトラムもそのうちの一つですが、発達障害という言葉自体、最近はNHKの発達障害プロジェクトをはじめとしたテレビ番組でも取り扱われることが多くなり、障害を患った当事者以外の方々の理解も広がっているように感じます。
ですが、どんな人がその障害なのかは、どの障害にも障害の程度に差があることから、精神疾患の専門医でないと判断するのは非常に難しいと思います。上記の症状を見て、「自分も自閉症スペクトラムなんじゃないか?」と不安になった方は、程度の差こそあれ自閉症スペクトラムの可能性もありますが、自分で安易に判断してはいけません。
ここで伝えたかったことはそれだけ発達障害は複雑だということです。精神疾患は脳の病と称されることも多いように、未だ医学的にも未知の領域です。インターネット上に様々な情報がありふれていますが、病名に判断できないほど、個々人が抱える精神疾患は複雑です。「自分は自閉症スペクトラムだからこだわりが強いんだ!」と病名で自分を定義づけしてしまうと、むしろ自分を見失うことさえあります。それだけ発達障害は複雑です。
何かの記事を一目して「これが自閉症スペクトラムなのか」と判断するよりも、僕はNetflixの海外ドラマ「ユニークライフ」を見ることをオススメします。発達障害は複雑だからです。

家族の葛藤
ここからはネタバレも含みますので、よろです。「ユニークライフ」はどんな物語なのかざっくり説明すると、とある自閉症スペクトラムを患った男子高校生が主人公の物語です。ただ、オススメする理由は、単純に男子高校生が自閉症スペクトラムに苦しむ姿を描いたものではないから。形式上主人公はこの男子高校生ですが、この物語の主人公は家族の在り方そのもの。それほど家族の葛藤が描かれている。そして、その家族の関係性は非常に複雑です。
主人公の家族は4人家族。父、母、妹、主人公の4人家族。それぞれが自分の人生と向き合う物語です。
障害のある息子を受け入れること
父親のダグは主人公のことをどこか恥だと思っている自分に向き合います。自閉症スペクトラムの息子を持ったこのお父さんは、息子との接し方がわかりませんでした。そりゃそうだろな。想像してみてください。何かこちらから話しても反応せず、大好きなペンギンのことしか話さない。ショッピングモールに言っても、大人数の人の音と激しい光で癇癪を起こす息子。自分の一人目の息子がもし、障害を持っていて、他人の子どもと同じように愛することができなかったらどれほど辛いことか。
あまりの辛さにお父さんはまだ幼稚園生の妹と小学生の主人公を置いて実家に帰ります。そして、ことあるたびに妻のエルサから言われるのです。
「あなたは家族を置いて逃げた」
と。父親にとっては辛かったかもしれないですが、もっと辛かったのはお母さんだったはず。世話のかかる小さな子ども2人を置いてかれて、それでも孤独に育てなければならなかったのですから。その後8ヶ月で父親は戻ってくるのですが、主人公が高校生になった今でも、妻から責められ続ける父。シーズン1では、主人公である息子が初めて恋愛をすることをきっかけに、同じ男として息子の恋愛を応援しようとコミュニケーションをとっていく中で、徐々に障害のある息子を受け入れていきます。
障害にある息子に限らないですが、自分とは生き方の違う息子が生まれてしまい、愛そうと思っていたやり方で愛せないわだかまりを抱えた世の父親はどこか目を背けたくなるドラマかもしれません。
家庭内ストレスの矛先
「あなたは家族を置いて逃げた」
と言い放った母親のエルサ。間違いなく主人公である息子の障害と高校生になるまでの十数年間向き合い続けたのはこのお母さんです。何かこちらから話しても反応せず、大好きなペンギンのことしか話さない。ショッピングモールに言っても、大人数の人の音と激しい光で癇癪を起こす息子をここまで育て上げてきたのはこのお母さんなのです。
すべてを息子に費やしてきたと言っても過言ではないでしょう。エルサは一人の女性としてお母さんという役割以外の人生はこの十数年送れなかった。そのストレスが蓄積していっていたことをエルサは自覚していませんでした。
エルサはとあるきっかけで不倫をします。
高校生になった主人公は初めて同世代の女の子と恋愛をし、今まで育児に関わろうとしなかった父親も主人公のサムと徐々にコミュニケーションがとれていくことで子離れし、ちょうど手持ち無沙汰になってしまったエルサ。そのタイミングでとある男性と巡り会い、家庭内に縛られ続け、一人の女性として愛される時間のなかったエルサの性欲が爆発してしまいます。シーズン1の最後に不倫はバレ、夫のダグや娘のケイシーからの信頼を失ってしまうのですが、果たしてエルサだけが悪かったのか?というのが本題だと思います。
家庭内のストレスの矛先が母親にいってしまい、今までのストレスが爆発した結果とも取れるのであれば、不倫の原因は家族の連帯責任と考えなければならないんじゃないかと僕は思います。
サムのよき理解者ケイシー
男勝りな妹のケイシーは主人公サムのよき理解者。お兄さんの障害も一つの個性のように捉え、障害者としてではなく、一人の人間としてお兄さんと接していることがよくわかります。
母親のエルサとは違い、サムと一緒に過ごしている自分の人生を肯定して生きていて、そこにストレスのようなものを感じません。それは兄妹であるからかもしれませんが、一番にサムを心配しているのは、妹のケイシーのように思います。
しかし、ケイシーは自分の人生とは何かを考えさせられます。昔、父親が家庭を8ヶ月放棄したこと、母親が見知らむ男性と不倫していること。両親にも人間の弱さがあることにいち早く気づいたのは、偶然にもケイシーでした。そんな中部活の陸上競技で優勝したことで強豪校から誘いがくるも、お兄さんのサムの世話を学校でする人がいなくなると言って葛藤するケイシー。
家族を本当に愛しているからこそ決断できるケイシーの勇気に僕は本当に感動しました。
最後に
誰が悪いわけでもなく、誰がいいわけでもない。それぞれのエピソードで誰かが葛藤と向き合っている時、誰かは葛藤から逃げようとする。お互いがお互いに影響し合っているからこそ、そこに負担が生まれている。いかに家族という均衡を保つのが難しいか、「ユニークライフ」を見て思い知らされました。
ぜひ、見て見てください!