こんにちは。hagebeatsです。
今日はですね、UK garageの2stepのリズムの作り方について実践的に語っていきたいと思います。まず、2stepとは何かというと、
2ステップ(ツーステップ ガラージ)は、1990年代後半にヨーロッパで流行したUKガラージサウンドの一つ。
リズムのノリの重点が二つ以上あることから、『二つのステップ』=2ステップと名づけられた。具体的には、1小節の中のキックドラム(以下キック)の1拍目と3拍目が強調されており、キックやその他ドラム、ベース等の位置がこれまでのジャンルのようにハッキリせず、フレーズごとにズレたようなサウンドを奏でる。
音楽の方向性としてその洗練性を強調する傾向が強く、2ステップを主題としたイベントではスーツの着用やドレスコードの指定など、スタイリッシュな側面を求めることが多いとされる。曲調としては定まっている方向性に幅があり、攻撃的な音から、ムーディーな音までその音楽性は幅広い。
参照記事:2ステップ(ウィキペディア)
と思った方が大半でしょう。ええ、僕もその中の一人だったんで安心してください。ということで、具体的にどういう曲が2stepが紹介していきましょう。
2stepの名曲
まずは、ミスター2Stepこと、m-floの☆Taku Takahashi作曲の言わずと知れた名曲・come again
m-flo / come again
平井堅 KISS OF LIFE
CHEMISTRY 『FLOATIN’』
なんせ1990年代に流行ったジャンルなので、最近はあまり2stepの曲は出ていないのですが、ミスター2Stepが最近いい曲を向井太一に提供してくださいました。
向井太一 / Break up (Official Music Video)
ということでなんとなく2stepの雰囲気は掴めたかなと思うので、早速作曲に入っていきましょう。
MJ Coleからハイハットを学べ
2stepはハイハットの音楽と言っても過言ではないです。従来のハウスやテクノとは違い、ハイハットの配置によってリズムに革命的なグルーヴをもたらした。そんな2stepのリズムに関しては、UKガレージのレジェンド「MJ Cole – Against The Clock」を見れば一目瞭然でしょう
Against The Clockとは、FACT magazineチャンネルで配信されている10分間でプロのトラックメイカー、アーティストがビートを作るという企画だ。今回は3分までの間にビートの基礎になるクローズドハイハット、キック、スネア、パーカッションのリズムを作ってます。大体の2stepはBPM120から130の間であることが多いんですが、特徴的なのはまずテンポを遅めの80ぐらいでハイハットのリズムを刻んでから、2分55秒過ぎにテンポを130に上げて2stepに変える点です。
余談ですが、ツイッターでもこの動画がアップされた当時はなかなか話題になりました。Against The Clockの中でも名作のうちの一つでしょう。そもそもテンポを途中で変えるというのは、曲の雰囲気が変わってしまうので、作曲においてはご法度。ですが、この動画で気付かされたのは、テンポを遅くしてハイハットの位置、ベロシティを細かに調整することで、独自のリズムを作ってることですね。
2分55秒過ぎ、80BPMちょっとで打ち込んでたビートを130BPMに速度上げてった時にちゃんと2Stepのビートになった時にヤバ過ぎて笑った!:MJ Cole – Against The Clock https://t.co/6M7nYoNNGW
— TJO (@TJO_DJ) May 30, 2018
俺もlogicですがぜんぜん使いこなせてないのでなにやってるかわからん箇所多数
MJ Cole – Against The Clock https://t.co/KEtwiGo6fu @YouTubeさんから— いぬもと (@inumoto) May 30, 2018
tofubeatsさんのbest of 2018に貼ってあったMJ ColeのAgainst The Clock良かった。 https://t.co/4Ce9lGpfIP
— 争うなら王冠燃やせ (@phorbidden) January 8, 2019
最近のMJ Coleを聴いてなく、遅いビートに路線変更したのかと思ったら、途中から2Stepになり安心した。Rhodesのコード弾きが如何にもMJ Cole。お元気そうでなによりです。
MJ Cole – Against The Clock https://t.co/EmrRl4vBjw @YouTubeより
— Motoki Hada (@motokihada) October 8, 2018
ということで、ハイハットに関してはレジェンド・MJ Coleに倣って以下のようにmidiで打ち込み。

一番上がopen hihat、二番目がpedal hihat、三番目がclosed hihatです。ドラムマシンは、logic pro純正のUltra beatのプリセット・Dub Smashを使いました。変えた部分は二番目のpedal hihat。全ての拍頭にpedal hihatが鳴っているのですが、最後だけズラしています。32分ごとにズラしているので、独特のリズムになっているかと思います。
スネア、キックの選び方
次にスネア、キックの位置です。こちら。

キックは上から一番目の4分頭、スネアは上から3番目の8分頭に打ち込んであります。キックに関してはハイハット同様にlogic pro純正のUltra beatのプリセット・Dub Smash、スネアに関してはDub smashだとスネアのアタック感が強すぎたので、今回はlogic pro純正のUltra beatのプリセット・Italo Discoのスネアを使用しました。これだと2step独特の軽く抜けたスネアが出ます。ベロシティは強すぎないほうがいいです。
余談ですが、もともとは、Roland TR-909というドラムシンセを使って、ベース音とかは作っていたみたいですが、come againはウッドベースを使っていたみたいです。
代表曲の「come again」(2001年)も、当時ヨーロッパで流行していた「2ステップ」と呼ばれるサウンドを目指していたが、「実際には2ステップになりきれなかった」と明かす。
本来であればベース音にはローランドのTR-909というシンセサイザーを使うべきところ、苦肉の策で生楽器のウッドベースで代用したのだという。
参照記事:m-floの☆Takuが上智大で授業 「come againは大間違い。でも…」(buzzfeed)
こういう感じのドラムシンセ。
イレギュラーが名曲を生むケースは稀ではなく、例えば、米津玄師のlemonでも本来は使わない不協和音のあるコードを使っているんですが、うまく取り入れています。それが計画的なものか偶然なのかはさておき、come againも唯一無二な理由はそういったイレギュラーな要素によって、印象付けられているからでしょう。
cabasaで一定のリズム感

ちなみに一番下にcabasaというマラカス的な音も入れてます。これによって、一定のリズム感をもたらしてます。ハイハット、キックともにリズムが独特なので、他のリズム隊で一定のリズムを打ち込むと、ビートに安定感が出て、よりハイハットとキックが際立ちます。
最後に
という感じでできた曲がこちら。17秒から今、打ち込んだリズム隊が入ってます。よければどうぞ。