こんにちは。hagebeatsです。
最初に言っておきましょう。
とか野次られそうですが、レビューを書きます。
概要
まず、今回、レビューするのはこちらの「うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間」という本です。
プロ棋士である先崎学さんが、うつ病になってから回復に至るまでのエッセイです。
アマゾンの紹介欄に書いてありますが、そもそもうつ病を発症した時期に自分で自分の状態を冷静にメモを取れる人なんて早々いないでしょうから、闘病記としてかなりレアなエッセイなことは間違いありません。しかし、僕は10ページしか読んでいないので、どう回復に至るかは知りません。悪しからず。
なぜ、10ページしか読んでないか?
さて、10ページしか読んでいない僕ですが、正確に言うと10ページ読んだ段階で読むのを中断しました。明らかに体が拒否反応を示したからです。と同時に僕がうつ病だった時のすべてを思い出したからです。
結論を先に言うと、精神が不安定な人、一度うつ病関連の気分障害になったことがある人は、注意して読んだ方がいいです。なぜなら、10ページ読んで自分の記憶が体を通して蘇るほどリアルなエッセイだからです。
脳裏に蘇る日々
まず、頭がぼうっとしてくるのを感じました。
一文字一文字読み込むたびに頭が重くなる。あの空白の時間が蘇ってくる。電気を消し、カーテンを閉め切った部屋の中でソファベッドの上で横たわる自分が脳裏に蘇ってくる。あの時の映像とあの時の身体の重さが体に蘇って来た時、僕は本を閉じました。
と完全に精神を持ってかれそうだったので、だいぶ危なかったかなと思います。若干、呼吸も浅くなっていたし、思い切り深呼吸をして、落ち着きました。こうやってブログを書いてる今も呼吸が浅くなっていたので、やはり思い出してるだけで危険なのかなと思います。
精神疾患には予期不安という症状があります。これは過去にパニックになった記憶を想像するだけでパニックになるという症状です。ゆえにパニック障害の方はホームに立たずとも、これから電車に乗ろうと考えただけでパニックに陥るケースもある。想像をバカにしてはいけない。
予定のキャンセルすら辛い
さて、たった10ページで完全に僕の精神を持って行こうとした名エッセイ「うつ病九段」の見所を引用しながらご紹介しましょう。
まず、こちら。
ところが、ライン一本でキャンセルをするだけなのに、その決断がつかない。十分や二十分、ひどい時には一時間以上もただそれだけのことで悩みつづける。そのくせ予定があるということだけで、ひどく心の負担になるのだった。
予定をキャンセルするのにも心の負担になっていたんだそうです。将棋の棋士たちが日夜将棋の戦略を研究する研究会というのがあるんだそうですが、それに欠席する連絡をするのに一時間以上もかかったと。
とうつ病になったことがない人は、そう思うかもしれません。ところがわかっていてもできない。予定をキャンセルする、その一つの動作だけでも億劫になってしまう。それがうつ病。
僕は躁鬱病なのだが、抑うつ状態になっていた頃、友達からよかれと思ってきてるであろうメッセージも無視せざるを得なかった時期があったことを思い出しました。予定があると、頭の中でその予定がぐるぐるする。どうやって予定を断れば穏便に済むだろう?そればかり考えて1日が終わった時もあった。
途中から耐えられなくなって、LINEもtwitterもmessangerもあらゆる通知を消した。iphoneの画面に通知があるだけでメッセージを返信しなければならないという切迫感に追い込まれるからでした。
朝起きれない
うつ病の朝の辛さは筆舌に尽くしがたい。あなたが考えている最高にどんよりした気分の10倍と思っていいだろう。まず、ベッドから起き上がるのに最短でも十分はかかる。ひどい時には三十分。
・・・
そこからありったけの気力を振り絞ってリビングへと行くのだが、のどが渇いているのに、キッチンへ行って水を飲むのもしんどいのである。仕方がないのでソファーに横になるが、もう眠ることはできない
ベッドから起き上がるのも大変。本当にそうだ。僕も一時期、ベッドから起き上がるのに下手したら1時間とかかかっていた。ベッドに沈み込むような感覚だ。決してベッドの居心地がいいわけではなく、ベッドという沼から抜け出せない。体が脱力して動かない。
たった2,3メートル先の冷蔵庫を開けて、ペットボトルを取り出した時にはその日の全エネルギーを使い切った感覚。少しよくなって、徒歩5分のところにあるセブンイレブンに行けた時には感動したことを覚えています。そんな感覚です。
電車のホームに立てない
正確にいうと、電車に乗るのが怖いのではなく、ホームに立つのが怖かったのだ。なにせ毎日何十回も電車に飛び込むイメージが頭の中を駆け巡っているのである。いや、飛び込むというより、自然に吸い込まれるというのが正しいかもしれない。
すべてがわかる。僕の場合はホームの線路よりに立つことができず、しばらくの間、線路から離れて一人壁寄りに立っていたのを覚えている。意識が遠のいた瞬間に自分が線路に吸い込まれてしまうような感覚があったから。
だから、電車に乗るときは食事をちゃんととったりとかちゃんと寝たりとか全ての欲を満たしてから行きました。そうでなければ、意識を安定させてホームに立つことができなかったから。
最後に
はい。ということで今回のレビューはざっと3000字ぐらいはあるんじゃないかと思いますが、それを1時間そこらで書けるぐらいにはありとあらゆる記憶を鮮明に呼び醒す先崎学さんの渾身のエッセイ。
毎日ハッピーで健康体で困っちゃうよ!というそこのあなたにお願いです。完読して先崎さんがうつ病からどう回復したのか僕に教えてください!
よろ。
✳︎くれぐれもうつ病真っ只中の人は興味本位で読まない方がいい。もちろん、うつ病をどう治すかの手がかりが書いてる可能性はあるが、その前に精神を持ってかれる可能性があります。やや治りかけの僕でさえそうだったので注意してほしい。
何より真っ只中の人はそもそも精神を持ってかれてるかどうかさえ、自覚できないケースが多いので、なおさらやめてほしい!
以上!
*今回使用した画像:頭にクエスチョンマークを浮かべた人のイラスト(男性)